March 31, 2020

Please reload

最新の記事

「この人なら信用できる」

March 30, 2020

 

 4年前のクリスマス、小学校5年生の息子にサッカーシューズをねだられて、スポーツショップ巡りをしたときのことです。

 

 息子がほしかったのは、ユニフォームに合わせた緑か青の靴。ところが売り場にはほとんど並んでいません。足のサイズは24センチで、店頭の靴はあってもサイズが小さいか大きいかのどちらかです。そこで、店員に声をかけ、在庫も調べてもらいましたが、やはりないとのことでした。

 

 その後、あきらめきれないのか、息子は靴売り場を行ったり来たりしていました。しばらくすると、別の店員が声をかけてくれました。

 

「緑か青ですか? ……今は赤が流行りなので、メーカーの生産がみんなそちらにシフトしているんですよね。また、サイズが24センチとのことですが、大体の人が23.5~24.5センチの範囲に収まることから、どうしてもすぐに売れてしまうんですよ」

 

 そう言って、在庫を確認してくれましたが、結果は先ほどと同じで、サイズ24の靴はありません。

 

 そこで、先を見越して25センチの靴を買うべきかどうかと尋ねると、大きいサイズを使用すると痛みが早いこと、また25センチからは大人用のサイズになることで値段がぐんと跳ね上がることなどを教えてくれました。そして、再びバックヤードへ行き、しばらくすると一足の緑の靴を手にして戻ってきました。

 

「どうでしょう、一つサイズが小さいのですが、試しに23.5センチを履いてみますか?」

 

と提案する店員。“ここまでいろいろと配慮してくれたのなら、もう商品がなくても納得がいく”――私はそんな気持ちになりました。

 

 幸いにして、その靴は息子の足にピッタリでした。店員は、靴をあちこち触りながら、

 

「つま先は大丈夫ですね。幅はどうだろう?」とか「バルセロナのメッシ選手が好きなんだ。うん、いい選手だよね」

 

などと息子に靴の履き心地を聴いたり、サッカー談義をしています。息子もうれしそうに笑顔を浮かべています。“ああ、この店員は、本当にお客のことを考えてくれているんだな”と、心が温かくなる瞬間でした。

 

 買い物の背景には、ストーリーがあります。詳しく話を聞いてくれて、共感してくれる販売員に、お客は心を開くものです。そして、「この人の言うことなら信用できる」と、信頼関係の構築にもつながります。

 

 なんにしても、息子の願いをかなえてくれ、私の父親としての面目も保ってくれたあの店員には、何か大切なことを教わったような気がしました。

Please reload

このブログは公益財団法人モラロジー研究所が長年の研究・教育の成果を多くの方々にフィードバックするために運営するものです。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最新の記事

March 31, 2020

Please reload

Please reload

過去の記事

このWebサイト上の文書、映像、写真などの著作物の全部または一部をモラロジー研究所の了解なく複製、転用することを禁じます。
〒277-8654 千葉県柏市光ヶ丘2-1-1 TEL:04-7173-3111(代) FAX:04-7173-3113

公益財団法人 モラロジー研究所

  • b-facebook
  • Twitter Round
  • Instagram Black Round