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January 17, 2020

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「よいこと」をしているのに

October 1, 2019

 地域密着型のスーパーマーケットを経営するSさん。「地域の方々に喜んでいただける店づくりをしたい」という思いから、早朝の掃除を思い立ちました。

 

 店の周辺を1人で黙々と掃除するうちに、お店の人たちが出勤してきます。Sさんの姿を目にした皆は驚き、口々にこう言いました。

 

「社長、すみません」

 

「私たちがやりますから」

 

 そもそも、これはSさんが自分でやろうと決めた掃除です。Sさんは「いいから、いいから」と言うと、すがすがしい気持ちで掃除を続けました。

 

 ところが、それから1か月もたつと、Sさんの掃除は「朝の見慣れた光景」になってきました。毎日のことですから、お店の皆も初めのころのように驚いたりしません。出勤時にSさんが掃除をしているところに行き合っても、軽い挨拶をするだけで通り過ぎていくようになりました。

 

 そのとき、Sさんの心の中で何かが変わり始めました。

 

 社長である自分が朝早くから1人で掃除をしているのだから、皆もたまには手伝ってくれてもいいじゃないか。少なくとも「すみません」と言うくらいの気づかいがあってもいいはずだ……。どこからか、そんな気持ちがわき起こってきたのです。

 

 

 よいと思われる物事に率先して取り組むこと。それは道徳的な行為といえます。しかし、そのときの自分自身の心をよくよく見つめてみると、どうでしょうか。

 

 善意の行動でも、心のどこかに「やってあげている」という意識があると、見返りを求めてしまいがちです。相手が感謝の気持ちを示してくれないと、不満がわき起こります。また、何事にも熱心に、そして真面目に取り組むのは大切なことですが、「自分ほど熱心にやらない人を責める」というように、「自分」を基準に物事を測り、歩調の異なる人を受け入れないようでは、人間関係はうまくいかなくなるでしょう。

 

 これは一見すると「よいこと」「正しいこと」に思える行為の中に、自分中心の身勝手さが見え隠れしているようでもあります。結果として「よいこと」をしながら周囲の人と衝突したり、自分もストレスを抱えたりするのであれば、それは本当の意味での「よいこと」とはいえなくなる可能性があります。

 

「言うは易く、行うは難し」といわれます。しかし「行うこと」よりも難しいのは、そのときの「心の持ち方」なのかもしれません。

 

令和元年10月月号


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