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「ありがとう」の不思議な体験

April 19, 2019

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 先月、わが家にも第一子が誕生しました。あらためて生命の偉大さ、命のつながりに感謝をしている昨今です。

 

 子供ができたことを知った昨年の秋、私たち夫婦は月並ですが、まずは胎教を! と考えました。ところが、はて、何をしたものか。あらためて考えてみると、具体的に何をしたらよいのか、さっぱり分かりませんでした。

 

 「英会話でも……」「いやそれはどうも違う」「じゃあ音楽を聴かせようか」「親が音楽好きでもないのに変じゃない?」と、あれこれ話し合った末、「ありがとう」とささやきかけることをわが家の胎教にしようと決めました。感謝することの大切さを伝えるなどというような高尚なことではなく、あまり深く考えずに、とにかく「ありがとう」と言い続けることにしたのです。

 

 なぜこの言葉にしようと決めたのか。思い返せば、子供ができたことが判る少し前、実家に帰省した折のこと、テレビや冷蔵庫、家具など、家中のあちこちに「ありがとうございます」と書かれた細長いシールがぺたぺたと貼ってあるのが目に留まりました。姉の子どもたちがイタズラでもしたのだろうと思い、剥がそうとした私の手を止めたのは、なんと母! 犯人は母だったのです。

 

「なんでこんな子供のイタズラみたいなことするの?」と聞くと、母いわく「『ありがとう』と一日何遍も言い続けると幸せになるのよ。目に付くところに貼ってあれば、自然に目に飛び込んでくるでしょ」ということでした。

 

 その時は、それ以上は気にも留めなかったのですが、子供ができて胎教をしようと考えたときに、なぜかフッとその言葉が浮かんだのです。

 

 それから毎日、朝起きては「おはよう」と同時に「ありがとう」、ご飯を食べても、仕事から帰っても、寝る前にも、とにかく一日中、まだふくらみさえしていない妻のお腹に向って、夫婦で「ありがとう」と言い続けました。

 

 やがて、妻のお腹が妊婦らしくなってきた頃、それまでは、何に対しての「ありがとう」なのか意味も考えずに言い続けていたのですが、だんだんと自分の中で、「この子のお蔭で僕は父親になれるんだ、ありがとう」という確固たる意識に昇華していきました。

 

 すると不思議なことに、日常生活そのものも感謝に溢れてきました。仕事の忙しい最中の病院への付き添いや赤ちゃん用品の買出しなど、大変でしたが、不思議と不平の気持ちが湧かないのです。

 

 妻もマタニティーブルーとはまったく無縁。ひどかったつわりにも、赤ちゃんがお腹を蹴る痛みにも文句は言わず、「これが母になる痛みなのね。あなたのお蔭でやっと経験できたわ。ありがとう」と言っては嬉しそうにお腹をさすっていました。

 

 無事出産し、病院から戻った妻と赤ちゃんとの新しい暮らしもやはり、「ありがとう」がキーワードです。2時間ごとのミルク、オシメ替え、夜に寝られないことにも妻は、「待ちに待ったこの経験がやっとさせてもらえる、ありがとう、赤ちゃんのおかげよ」と。

 

 新しい家族が加わったわが家では、面白いことが起こりました。赤ちゃんが泣いたり、ぐずっているときなどにも、私や妻が「ありがとう」とささやきかけると、その瞬間にピタッと泣き止み、あどけない目をこちらに向けてニコッと笑みを浮かべるのです。他の言葉にはまったく反応しませんので、どうやら「ありがとう」の胎教はこの子に確実に伝わってくれたようです。

 

 思い起こせば数年前、父が他界するときのこと。病院のベッドで発した父の最期の言葉も「ありがとう」でした。弱々しい声で、意識が遠のく最期の瞬間まで「ありがとう」と父の口もとが動いていました。そして私たち家族も全員がそれぞれに「ありがとう」と父に応えていました。父を失う悲しみよりも、この素晴らしい父の家族であったことに感謝して、また父も多分、自分の人生を共にした家族皆に感謝して「ありがとう」で人生を閉じたのです。

 

 父から受け継いだ「ありがとう」が、胎教を通して子へつなげられたような気がしています。

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