大人ってなんだろう

3年後には、成年年齢が18歳に引き下げられることになりました。これに先立って選挙権年齢が引き下げられたこともあり、「大人になる」とはどういうことかについて、あらためて考える機会を持った方も多いのではないでしょうか。
それは「投票する権利を得る」「親の同意を得なくても、1人でさまざまな契約ができるようになる」といった、法律上の問題だけではないでしょう。
考えてみると、私たちが生まれたばかりのときは、自分の身の回りのことすら満足にできなかったはずです。それが家族をはじめとする周囲の大人たちのお世話を受けながら成長するうちに、やがて自分のことは自分でできるようになり、自分以外にも目を向けることができるようになって、今度は自分自身が「お世話をする側」になっていく。それもまた「成長する」「大人になる」ということの大切な側面ではないでしょうか。
自分1人のことだけでなく、周囲の人たちのことを考える。そして家庭から職場や地域社会、さらには日本や世界のことへと視野を広げ、自分自身にできることを考えていく……。「大人になった」というときには、社会的な権利の面ばかりでなく、そうした「社会の一員としての生き方」についても考えを深めていきたいものです。
何より、私たちは1人きりで生きているのではなく、過去から未来へと続いていく「いのちのつながり」に支えられている存在です。また、今の暮らしが世の中の多くの人たちとの「つながり」に支えられているということも、忘れてはならない事実でしょう。
こうしたことにしっかりと目を向け、感謝の心を育んでいくこと。そして自分自身も誰かを支える側に立ち、先人たちから受け継いだものをよりよい形で次の世代へバトンタッチしていくという志を持つことも、この社会に生きる大人としての大切な「務め」につながっていくのではないでしょうか。
私たちの心は、目には見えませんが、自分自身の人生を豊かにする大きな可能性を秘めています。1日1日を丁寧に過ごして、喜びの多い人生を築いていきたいものです。
平成31年1月号
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