このWebサイト上の文書、映像、写真などの著作物の全部または一部をモラロジー研究所の了解なく複製、転用することを禁じます。
〒277-8654 千葉県柏市光ヶ丘2-1-1 TEL:04-7173-3111(代) FAX:04-7173-3113

公益財団法人 モラロジー研究所

  • b-facebook
  • Twitter Round
  • Instagram Black Round

November 8, 2019

October 19, 2019

Please reload

最新の記事

受け継ぎたい「日本の心」

September 30, 2018

 

 「ジャポネース・ガランチード」。これはブラジルの人たちが「日本人は信頼できる」という意味で用いる言葉です。ブラジルには明治41(1908)年以来、戦前・戦後を通じて多くの日本人が移住しており、今では日系人が約190万人ともいわれる海外で最大の日系社会が築かれています。

 

 日本からの移住者は、当初はコーヒー農園の契約労働者として働きましたが、のちに自営農家として独立する人も現れました。原生林を切り拓いたり、石ころだらけの土地を開墾したりと、過酷な環境下で血のにじむような苦労を重ねて新しい作物の栽培に成功し、一大産地にまで発展させた例もあります。農業以外の分野でも、先人たちは勤勉、誠実、創意工夫、忍耐力、団結力といった特性を発揮しつつ、ブラジル社会に溶け込み、その発展に貢献してきました。

 

 今から40年ほど前にブラジルへ渡り、現地で造園の仕事に携わってきたある日本人男性は、こんな体験を紹介しています。

 

 ――あるとき、軍の要職に就いていたというブラジル人男性から、自宅に日本庭園を造る仕事を依頼されました。以前から付き合いがあったわけではなく、その仕事を引き受けることで初めて知り合った相手です。庭が完成したとき、男性は「なぜ、あなたに仕事を頼んだか」ということを明かしました。

 

 「子供のころ、私の家は貧しかった。そんな中、近所に住んでいた日本人のおばあさんが私をかわいがってくれて、よく家に遊びに行き、面倒を見てもらった。おばあさんに褒められるとうれしいから勉強に励んだし、世の中のために働くことが大事だと教えてもらったからこそ、ここまで頑張ってくることができた。自分の人生を支えてくれたおばあさんの思い出のために、日本庭園を造る人を探して、日本人のあなたを見つけ、庭造りを頼んだのだ」と

――(参考=丸山康則著『ブラジルに流れる「日本人の心の大河」』モラロジー研究所刊)

 

 「ジャポネース・ガランチード」という評価は、このブラジル人男性の思い出の中にあるおばあさんの姿のように、名もなき無数の先人たちの「周囲の人々へ向ける温かいまなざし」や「誠実な生き方」によって、長い時間をかけて形づくられてきたものなのでしょう。

 

 現代の日本に生きる私たちの日常にも、海を渡った先人が発揮したのと同じ「日本の心」や「日本人の生き方」が存在しているのではないでしょうか。こうした美風を培ってきた先人に感謝しつつ、次の世代にもしっかりと受け継いでいきたいものです。自国の文化に愛着を持ち、これを大切に守り伝えていくことは、他の国々の文化を尊重する態度を養う第一歩でもあります。「互敬」の精神をもってお互いの「よいところ」に学び、高め合う中でこそ、人類社会の未来が開けていくのです。

 

平成30年10月号
 

Please reload

このブログは公益財団法人モラロジー研究所が長年の研究・教育の成果を多くの方々にフィードバックするために運営するものです。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最新の記事

November 8, 2019

October 19, 2019

Please reload

Please reload

過去の記事