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「徳のある人は……」

September 10, 2018

  今から15年ほど前、30歳以上も年上のK先輩が、私にこんな話をしてくれました。

 

 あるとき、K先輩が恩師に誘われて道徳の話を聞きに行くと、話の内容はたいへん良かったものの、聴衆の中に私語が多かったり、会場の外で噛んでいたガムをそのまま道路に吐き捨てたりと、およそ道徳的ではない行動を取る人の姿を見て、恩師に疑問をぶつけました。

 

「先生、お話の内容は素晴らしかったのですが、聞く人の態度や行動にすっきりしないものが残ります。良い話を聞いても行いがそれに伴わないのでは話を聞く意味があるのでしょうか?」

 

 その答えは、

「徳のある人はな、他人の悪行なんて目に入ってこないものなんだ。人の悪行が見えるのは、あなたに徳がないからです」

というものだったそうです。

 

 私はその話を聞いて、あまり深くは考えず、言葉どおりに「へー、徳のある人は人の悪いところは見えないもんなんだな」と思っていました。それでも「徳のある人は……」という言葉が私の心のどこかに引っ掛かっていました。

 

 それからというもの、他人の良くない行いが目の飛び込んでくるたびに、「私はまだ徳が足らないんだな」と思っていたのです。ならばいつになったら「徳のある人」になれるのだろうという気持ちも同時に抱えていました。

 

 それから10年ほどが経ったころ、電車の中で大学生とおぼしき男性が、飲み終えたジュースの空き缶を床に放置して下車していく姿を目にしました。その空き缶は、誰も拾う人がいないまま、その場所にあり続けました。やはり私には徳がないんだなと思いつつ、目的駅に着くとその空き缶を拾って下車しました。そして、ゴミ箱に缶を捨てた瞬間、私は自分の考え違いに突然気づきました。

 

“徳のある人は他人の悪い行為が見えないのではない。見てしまったときには、自己の行いに振り替えて、自分ならそんなことはしないという反省の機会として受け止めるという意味なんだ”

 

 この考えに至るまで、私は10年の時間を必要としました。足らなかったのは「徳」ではなく「頭」だったのではと、一人苦笑しながらも、心の引っ掛かりがはずれて、ようやくすっきりしました。

 

 人の良くない行為が目に入ったとき、「人の振り見て我が振り直す」反省の機会にしたいものです。

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