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November 28, 2019

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厳しさの中の優しさ

August 29, 2018

 

 数年前に亡くなった父は典型的な職人タイプで、頑固で曲がったことが大嫌い、真っ正直に生きた人でした。私が子供のころは、間違ったことをすれば、私の友人であろうとも、父は平気で怒鳴りつけたので、私も友人たちもいささか辟易していました。その反面、正直さゆえか面倒見がよく、何かと世話をやいたり、頻繁に声をかけたりもしていたこともあって、友人たちは「怖さはあるけれども人情味のある人」などと言っていたようです。

 

 優しい父親像が求められる現代では、いないタイプの父親だったと思います。その厳しさゆえに、当時の私は「優しい友だちみたいな父親」に憧れたこともありますが、後に「優しさ」を勘違いしていたと気付かされます。

 

 父は病に倒れたとき、入院しても厳しい部分は衰えず、私に家の仕事を申し付けました。自分が動けないためか、いらだちで口調は強いものの、きちんと仕事が処理されていることがわかると、にわかに笑顔を浮かべました。

 

 余命が宣告されたころになると、病院で出る食事にほとんど手をつけなくなりました。母がつくる海苔巻きを一個二個と口にするのがせいぜいで、何かを口にするたびに、回復を信じる母は顔をほころばせました。

 

 そんなある日、父は私に「たこ焼きを買ってこい」と命じました。〝今日は調子がいいのかな〟、そう思いながら病院前のたこ焼き屋へ走りました。病室に戻った私に、父は「たこ焼き、好きだったよな。腹が減っているだろ」と言って、たこ焼きを勧めるのでした。

 

 ベッドから起きることができない状態になっても、子供である私に好物を食べさせたいと思う、その気配りに優しさと凄みを感じ、父にはかなわないと痛感したものです。

 

 今、私には二人の子供がいます。その子たちに厳しくあたることがあっても優しさを忘れることが無いように心がけています。また子供たちには優しさの本質を掴み取ることができる人に育ってほしいと願っています。

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