子宝が与え届けるもの

ぽこぽこ。ぐるっ。
つい先月までは時々お腹の下の方でぽこぽこと何かがはじけるような感覚でしかなかったのが、妊娠七ヶ月に入った最近では、びっくりするほどの大きな衝撃を感じることさえあります。元気に育ってくれている証拠だと嬉しさを感じつつ、子供が運んでくる「幸福感」というのは、何ものにも代え難いものだということを実感しています。
つわりが始まったころには、人生で初めて経験する体調の悪さに戸惑いを感じましたが、それだけに、毎日元気に過すことのできる身体を授けてくれた両親にあらためて感謝しました。また、世のお母さん方が、こんなにつらい思いをして子供を生み育てていることを知り、尊敬の念も生まれました。「子宝」という言葉が示すように、子供は生まれる前でさえ、周囲の人に喜びと希望を与える存在なのだということにも気づかされました。
昨年の三月に父が脳梗塞で倒れた後、偶然か必然か、娘三人が相次いで新たな命を授かりました。悲しみに沈んでいた母も、娘たちのお腹が日を追って大きくなるにつれ、元気を取り戻してきました。先々月は義姉の子が、先月には妹の子が誕生し、孫たちに元気をもらって活き活きしている母がいます。
数年前に知人から聞いた話によると、娘さんは小さいころ、生まれる前の話をよく知人にしていたそうです。大勢のお友だちと一緒に空の上で光に包まれて遊び、地上を眺めているうちに、自分で親を選んでお腹の中に入ったというのです。幸せを運んできてくれたお腹の子も、私たち夫婦を選んでくれたのだと思うと、この子に恥ずかしくない生き方をしてきただろうか、と考えずにはいられません。
私も自分で選んだはずの両親に、幸せを届けることはできたのだろうか? むしろ心配をかけるばかりだったかもしれません。これからは、もらった愛情を返していきたいと思います。