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ひと言を心に残したい

January 29, 2018

 

 毎日、何気なく交わされている会話の中の言葉。相手がさして深く考えずに言った言葉に、傷つけられた経験は、誰にでもあることでしょう。逆に、言った人が覚えていないようなほんのひと言が、自分を支える杖になることもあります。

 

 今から25年前、20代だった私が働いていた職場の上司は、仕事ができる優秀な人でしたが、同時に気も言葉遣いも荒い人でした。それゆえ、反発心もありました。

 

 ある日のこと、その上司と職場と実家の距離のことで雑談しているときのことです。私が半ば冗談で「ここにいたら親に何かあって、もしものときに会えないですよ」と漏らすと、その上司はこう言いました。

 

「仕事をしている以上、親の死に目に会えると思うなよ」

 

 これはまたきついことを言うなあ、と内心、苦笑しました。ただ、その言葉は、なぜか私の心の中にずっと残っていました。

 

 それから15年が経ち、私は40歳となって職場も変わりました。ある年の9月、母から父がやっかいな病で臥せったと連絡がありました。そこで思い出したのが、あの上司の言葉です。「親の死に目に会えない」のであれば、生きているうちに会えばよい。そう考えた私は、可能な限り父が入院している病院に見舞いに行き、落ち込む母を励ましました。

 

 父は、年末に一時退院し、正月を自宅で過ごした後、投薬のため、再び病院へ戻りました。しかし、その4か月後、桜の時期に危篤となりました。その一報を受けて私は病院へと急ぎましたが、過去の上司の言葉どおりの展開になりました。そして、ふと思ったのが、あの言葉の真意は、「死に目に会えない可能性が高いから、生きているうちに会って親孝行をしておけ」なのではないかと。そう思うと、心が少し楽になりました。

 日常生活の中で受け止めた何気ないひと言が、心を楽にすることがあります。キャッチした言葉の真意をよく考え、自分自身が発する言葉にも吟味を重ねたいものです。

 

 他者の言葉に対して反発したり無視したりする心を働かせていたとしたら、思い出すべきときに、思い出す必要がある言葉も思い出せずに終わってしまいます。それはとても残念なことです。私が反発心で上司の言葉を聞き流していたら、父のことでもっと苦しんだであろうことは確かなのですから。

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