日ごろの母性が父性を生かす

子どもがなかなか言うことを聞いてくれない、聞き分けがない、こんな悩みを感じる親ごさんも多いことでしょう。子どもに限らず、大人でも「人の言うことを聞く・聞かない」の違いには、相手との日ごろの関係が大きく影響しています。
私たちは、長所・短所にかかわりなく自分のありのままを受け入れてくれる人、認めてくれる人、好きでいてくれる人の言うことにはよく耳を傾けます。反対に自分を受け入れない人、認めてくれない人、嫌っている人の言うことは軽く聞いたり、無視したりするのが普通です。これは大人も子どもも同じことなのです。
子どもの教育やしつけでは、母性と父性ということがヒントになります。母性とは、一口で言えば、相手のありのままを受け入れ、認め、保護することです。父性はそれとは異なり、相手のありのままの姿に満足せず、より高い目標を示して努力を促すことです。
子どもが親の言うことを聞かない場合、親が強い命令口調で子どもに接していることが多く、それは父性が勝った対応といえるでしょう。
相手が子どもであっても、親の気持ちや希望を受け入れてもらうには、日ごろから子どもの気持ちや希望を受け入れている必要があります。
たとえば、夕食を用意したあとに、子どもがおかずを気に入らず、別の献立を希望したような場合、「また、わがままを言う困った子」と考え、頭ごなしに叱ってはいないでしょうか。子どもの気持ちや希望、欲求などを軽視、無視する対応が続くと、親の言うことも無視する聞き分けがない子どもに育ちがちです。
子どもの希望をすぐにかなえるのが無理な場合にも、いきなり子どもを叱らず、その気持ちだけは理解し、翌日あるいは別の機会にその希望をかなえるために努力する、そうした積み重ねが、親の気持ちや希望を分かってくれる子どもを育てます。
日ごろの母性たっぷりの子育てが、何かのときの父性による対応に効果をあげるのです。